父子合集経講記（一一八）

十種の悪業の果報は臨終の時に皆現前する

原文：仏は王に言われた。然り、然り。愚かな凡夫は悪しき声を聞いて憂い悩みを生じ、瞋心を起こして瞋業を造る。所謂、身三・口四・意三の業である。その業を造り終わって刹那に滅び去る。業が滅びた後、東西南北・四維上下の中間に依って住することはない。最後の際、命根が滅する時、自らが造った業報が悉く現前する。夢から覚めて夢中の事を思うが如し。

釈：仏は言われた。大王、まことにその通りです。愚かな凡夫が悪しき声を聞き見て心に憂い悩みを生じ、瞋心が生じた後、瞋りの業行を造ります。これらの業行は身口意に反映されると、身業三種、口業四種、意業三種となります。これらの業行を造り終わると、刹那の間に滅び去ります。業行が滅び去った後、東西南北四維上下に依って存在することはありません。最期に寿命が尽きようとする時、自らが造った業果報が全て現前します。あたかも夢から覚めた後、夢中の事を思うようなものです。

衆生が業を造る時、誰にも知られていないと思っていますが、実は人を欺くことはできません。そうでなければ果報が存在しません。まず自らの心が知り、記録しています。周囲の鬼神も全て知っており、閻魔大王の元にも記録があります。仏菩薩と護法神も全てご存知であり、当時神通力を持つ衆生も知っています。後に神通力を持つ衆生に会えば、また知られるでしょう。業行を造った瞬間、それは一つの記録となり、この記録は仏に成るまで永久に消えず、報いを受けて業種が消えても記録は消えません。全て神通力を持つ衆生が閲覧できます。