如来蔵はいかにして業行を記録し、業種を出力するか（三）

識の種子は本来より如来蔵の中に存在し、不生不滅のものであります。識の種子を生じる法は存在せず、識の種子は法爾如是として如来蔵に存在しており、その数は極めて膨大ながらも総量は定まっております。数量が定まっている以上、識の種子が生じた後に滅するならば、どこへ滅するのでしょうか。滅した後、再び如来蔵に戻るのであります。かくして如来蔵中の識の種子の数量は一定であり、絶え間なく生じ、また戻り、送り出されては戻るを繰り返すことで、その数は変化しないのであります。

如来蔵は常にこれほどの数の種子を用いて七識を生じさせ、識の種子が送り出されることで七識の心行活動が形成されます。七識の心行が生じると、それは染汚・清浄・無記性に分かれます。心所法が染汚であれば七識は染汚の業行を造作し、心所法が清浄であれば七識は清浄の業行を造作します。そして識の種子が如来蔵に戻る際、七識の心所が造作した心行及び了別した内容の全てを如来蔵に带戻し、これを如来蔵の法爾如是なる記録と申します。法爾如是に衆生の身口意行を蓄え、将来再び法爾如是に業種を出力し、法爾如是に衆生の因縁果報を実現するのであります。

これら全ては如来蔵が能動的に記録するものではなく、能動的に蓄えるものでも、能動的に業種を出力するものでもありません。如来蔵にはこれらの心行がなく、これは無為法であり、無為の心行は能動的意図を持って何かを造作することはありません。全てはその法爾如是なる功能体性であり、本来の働きであり、存在する意義であります。何らかの心行があって衆生の業行を記録し善悪を分別するというものではなく、ただ法爾如是に種子を出力し、識の種子が送り出されて了別と業行造作を経た後、再び戻るのであります。如来蔵に戻る際、直ちに七識の心行・了別内容・造作行為を共に带び帰り、種子として蓄えるのであります。

かくして如来蔵は七識の了別内容と心行をも蓄えます。心行が善ならば善種子として、悪ならば身口意行を悪業種子として、不善不悪なら無記業として如来蔵に蓄えられます。これが如来蔵の法爾如是なる記録・蓄積機能であり、七識の運営と衆生の身口意行がこのように記録される所以であります。

身口意行の造作は同時進行で少しずつ記録され、継続的に蓄積されます。これらの種子は絶え間なく出力され、途切れることなく如来蔵に戻ることで、記録・蓄積された内容が一つの事件を形成します。事件が完結すると、全体が一つの業種として収蔵されます。如来蔵は微細な心行をも一点一滴漏らさず記録し、最終的に総体としての業行・業種を形成します。この過程において、最も微細な心行さえも失われることはなく、全てが如来蔵に収められます。何故なら全ての識の種子が連続的に如来蔵に戻り、七識が一点を了別するごとに一点を蓄積し、最終的に連続した了別内容が全体の事件となるからであります。

この全体の事件が善・悪・無記いずれであれ、全て種子として蓄えられます。これらの心行と業行に対し、如来蔵は微塵も変更を加えることはありません。如来蔵は選択を行わず、この業行を記録しあの業行を記録せぬといった分別もなく、戻った種子は全て蔵庫に収められます。出力された識の種子が戻る際、了別内容と造作内容を全て带び帰り、種子として蔵庫に蓄積するのであります。

蔵庫に蓄えられた後、将来因縁が熟する時、如来蔵は再びこれらの識の種子を出力します。識の種子が出力されると、過去に縁熟した業種をも带び出します。これにより身口意行の造作は貪瞋痴性、清浄性、あるいは染汚性を带びることとなります。元来蓄えられた種子がそのような性質であるため、再び出力される際にも元と同じ清浄あるいは染汚が顕現するのであります。