第六・第七識がともに如来蔵を証得してこそ真の悟りである

如来蔵を証得する悟りにおいては、意識による証得が必然である。しかし意識のみの証得は真の証得とはならず、意根が同時に証得してこそ完全である。意識のみの証得は解悟に過ぎない。仮に意識のみが証得するのであれば、他人から如来蔵とは何か、その所在や作用を教え聞くだけで証悟できてしまう。このような証悟が可能なら、我々は全ての衆生に如来蔵の正体を伝え、大乗法の修学も禅の参究も必要なく、全ての衆生を直ちに菩薩として覚醒させ得るはずである。さらに各段階の密意を直接伝えれば、衆生は即座に証得し、速やかに成仏できるであろう。ではなぜ世尊はこの方法を採られなかったのか。

一切の法はまず意識が解了し証得した後、意根がようやく解了し証得する。意根は智慧が不足しているため、意識の思惟能力に依存せざるを得ない。多くの法義を意識は理解していても、意根は容易に理解証得できない。

現代人の意識は過度に聡明で、容易に理屈を理解する。現状に満足すれば問題が生じ、仏教は急速に滅びるかもしれない。六祖壇経が現れる以前、求道者たちは実修に励み、禅定と参究を重ね、決して口頭禅に耽ることはなかった。壇経出現後、方向性が転換し、大衆は集まって口頭禅を交わすようになった。壇経の教えを読んで全てを理解したと思い込み、修するべきものなしと錯覚し、実践なき空論にふけるようになった。現代人はなおさらこの傾向が著しい。