寂滅楽とは何ですか

生滅が滅し終わると、寂滅が楽となる。生滅の法とは五蘊十八界の世間法であり、これらの法は全て生滅性を有する。衆生は修行を通じて我見を断ち、更に我執を断った後、これらの虚妄なる五蘊世間法を滅除する能力を得る。これらの生滅法が全て滅び去った後、法身如来蔵のみが残り、如来蔵は寂滅の状態に安住する。如来蔵には苦受が無く、方便的に楽と説かれ、寂滅楽と称される。

五蘊は苦の法であり、五蘊ある限り苦が存在する。阿羅漢たちはただ苦を滅ぼさんと願い、四聖諦の法を修し無学となった後、世間との縁が尽きると、五蘊七識を悉く滅ぼす。五蘊を滅ぼすことは即ち苦受を滅ぼすことに等しく、苦受が滅びれば苦は無くなる。苦は無いが、世俗法としての楽も存在せず、世俗の楽もまた苦であり清浄ならざるものだからである。涅槃の楽は世俗の楽とは異なり、寂静無為の寂滅楽であって、世俗の喧騒たる楽ではなく、ただ世俗の言語では表現し難い。

この寂滅楽とは法身如来蔵の苦無く喧噪無き寂静の楽であり、この楽の中に楽を受ける者一人も存在せず、法身自らは楽を受けず、境界を覚知しないが故である。楽を受ける五蘊身も無く、楽を受けず苦を受ける者も無く、そもそも人の存在そのものが無い。法身自らも苦を受けず、この境界においては苦楽の受も無く、不苦不楽の受も無く、一片の無為寂静が広がる。