外五塵は法塵なくして存在せず

山の高さと水の深さ、高さと深さは形色表色であり、山色の顕色があってこそ山の高さの形色を引き立て、山の高さの形色があってこそ山体の色彩の範囲を画定できる。水色があってこそ水深の表色を引き立て、水深の表色があってこそ水量を画定できる。顕色たる五塵色と形色表色・無表色の法塵は互いに緊密に結合し、一瞬たりとも分離できない。さもなくばいかなる色も存在し顕現できない。故に外塵は必ず法塵を有し、六塵相が具足するのであり、外五塵のみ存在して法塵を伴わぬことはあり得ない。法塵を伴わぬ外五塵は存在せず、それは想像上の産物である。

法塵が後脳の勝義根において五塵に依って変現するという説は何ら根拠がなく、全く成立しない。外塵は必ず完全な六塵相を具えるものであり、如来蔵が最初に変造する際、色彩等の顕色のみを単独に変造し、形体も内実もない茫漠たる色彩世界を創造することはない。世界は単純な色彩によって構成されるものではない。様々な物体はそれぞれ形状と性状を有し、これによって多彩な物質世間が成立する。例えば如来蔵が五陰身を変造する際、色身の色彩のみを変造し、身長の高低や肥痩などの法塵を他人の勝義根で別途変現させることは断じて不可能である。いかなる者が空想しようとも、かかる人類や衆生相を空想し得るものではない。