物質的な色法はすべて地・水・火・風・空の五大種子によって構成されています。中でも水大種子の占める比率が多ければ、流動体である水が形成されます。水は水分子が集合して成り、水分子の中には水素原子と酸素原子が存在し、各原子の中にはさらに陽子・中性子・原子核などの微細な粒子物質が含まれています。これらの微細な粒子の一つ一つは地・水・火・風の四大種子によって構成され、空大種子が加わることで、粒子内に空間が生じ、粒子は空間軌道に沿って運動することが可能となります。四大種子と空大種子の配列組合せが異なることで、形成される粒子も異なり、運動形態も変化するのです。
水の中には地大の堅固性が含まれるため、水には阻礙性が存在します。水の温度は火大の性質を表し、流動性は風大の作用によるものです。水分子の中には空大が存在し、空隙を有しています。水を加熱すると、粒子内の四大種子と空大種子の配列順序と運動形態が変化し、水の物理的特性が転換され、液体の水は気体の水蒸気へと変化します。水の温度を零度以下に下げれば、水粒子の配列順序と運動形態も変化し、その物理的特性が転換され、液体の水は固体の氷へと変わります。
四大種子は相互に転換することはありません。水大種子は如何なる条件においても永遠に水大種子であり、地大種子や火大種子に変わることも、風大種子や空大種子に転じることもないのです。ただ各種子が混合する配列が変化し、種子の構造が転換されることで、物理的特性が変化するに過ぎません。
如来蔵に本来備わる七大種子は、外界の如何なる条件によってもその性質を変えることはなく、如来蔵自体も種子の性質を変更することはできません。水大が地大に変わるという道理は仏法には存在せず、もしそうなら物質世界は混乱に陥り、如来蔵内の種子も乱れることになります。もし水大が地大に転じ得るなら、如来蔵には水大が存在せず六大種子のみとなり、一つの種子が欠落することで衆生の色身も形成されず、物質的色法も生じ得なくなり、世間に物質が存在しなくなることで世界そのものが消滅し、十方世界も存在し得なくなるのです。
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