いかにして三能変識は共に世間万法を現じるといわれるのか

問：一切の法は第八識より生じるとされているのに、なぜ三つの能変識が共同して万法を顕現すると説くのですか。

答：世間の一切の万法は第八識によって顕現されるものですが、第八識単独では外縁に依らなければ一切の法を生じることはできません。第八識は必ず相応する縁に依って初めて一切の法を生じ、単独の因のみでは法を生じないのです。

唯識では三つの能変識を説き、第八識は第一能変識、意根は第二能変識、前六識は第三能変識とされます。第八識は第七識と和合して根身器界を顕現し、さらに六識と和合して初めて一切の法を生じます。もし前六識が顕現に参与しなければ、多くの法は現行することができません。六識のすべての活動は種子として第八識に蓄積され、第八識はこれらの種子に依って初めて万法を生じるのです。これらの業種がなければ、第八識も万法を生じることはできません。

四果の阿羅漢のように、彼らの六識における身口意行が既に清浄となり、世間の有為法を多く造作しようとしなければ、三界世間の種子は再び集積されず、意根も三界世間法を執着しなくなります。そうすれば彼らは臨終に無余涅槃に入り、第八識のみが残って一切の法を生じないのです。したがって三界世間法の生起は、必ず三つの能変識が共同和合して生じるものであり、第八識単独では法を生ぜず、法を変じません。我々の現在の六識がもし全て無為となり、身口意行を造作しようとしなければ、種子も生じず、未来世には再び五陰が生起せず、生死の連鎖は断たれるのです。三界世間法の出現は、必ず八つの識が共同して運作した結果なのです。