意根は禅定に相応するか

智慧は意識の慧のみならず、意根の智慧をも含む。意識の慧によって意根の慧が引き出され、最終的に意根に定着して種子に蓄積される。後世において縁に触れて種子が発芽すれば、再び大智慧が生じる。禅定がなければ、意識のみが単独で智慧を有し、意根は智慧を有することができない。意根は攀縁多く、精力を集中して思量参究することができず、故に法を証することができず、大小乗の無我を知ることができず、智慧を生じることができない。

意根に智慧がなければ、我見・疑見・戒禁取見を断ずることができず、後の生死の結縛も断じ難く、六識の修行を正しく理に適って指導することもできない。意識が如何に智慧を有しても、大した役には立たない。意識が如来蔵を真実とし、一切法を幻化とし、五陰を無我と認識しても、意根が理解しなければ無明を破ることはできない。無始の無明が依然として存在すれば、依然として六識を引き連れて無明の業を造作し、貪瞋痴の煩悩を薄らぐことも、ましてや降伏断除することもできず、心解脱と慧解脱を得ることができず、一念無明と塵沙無明を断尽することができない。三界を出離することも、究竟成仏することも叶わない。

解脱は主に、意根が三界法に対する生死の係縛、及び一切法への執着と係縛を解脱することを指す。意識と意根が小乗における慧を満足させれば、それが即ち慧解脱の四果阿羅漢である。意識と意根が大乗における慧を次第に具足円満すれば、識を転じて智と成し、究竟成仏する。故にこの慧は最終的に意根に帰着せざるを得ない。

大智慧が意識のみならず意根にも現れる以上、識転成智には意識の識転成智と、更に意根の識転成智がある。では禅定はどの識に定められ、どの識と相応するのか。意識と意根の双方に禅定が存在し、共に禅定と相応する。まず意根が法を意識に託して思惟させると、意識は初め散乱しているが、次第に定を生じ、その思惟観行が意根の関心を引き起こす。注意力が次第に意識の思惟内容に集中するにつれ、初歩的な定が生じる。意識も次第に思惟観行に専注できるようになり、意根の注意力が強まるにつれて禅定は深まり、意識はますます集中し、思惟は細密を極める。意根はこれに依って深細な思惟を行い、理を明らかにして法を証する。これが観行によって禅定を引き起こし、更に観行力を増強する方法である。

一方、意識が定を修することにより、意根の攀縁を減少させ、意念を集中させる。その後、意根が法義を思惟すると決めれば、意識は注意力を集中して一つの法義を思惟観行する。意識の観行内容は刹那毎に意根に伝達され、意根は伝えられた情報に対して勝解を得る場合もあれば、得られない場合もある。即ち智慧が生じる場合もあれば、生じない場合もある。智慧が生じるか否かは、三十七道品が具足しているか、戒定慧の修行状況如何、煩悩が降伏されているか、心性が調柔であるか等、多くの要因による。

専一に思惟し、深く細密な観行が可能であれば、意識と意根の双方の注意力が集中し、一定の定力を有していることを示す。六識に禅定が現れる時、意根には必ず定が存在する。意根に定がなければ、六識の禅定は決して現れ得ない。六識が念有り無しは意根によって決定されるからである。意根が諸方に攀縁し、六塵境界を全て了別しようとする限り、一つの境界のみを了別しようとしなければ、六識が無念或いは一境に専注することは不可能である。

六識が仏法を熏修し、もし意根にまで熏修が及び、影響を与えて意根を導くことができれば、意根もまた定を有する。意根の定とは、まず意根が法に定まり、五陰無我という法に定まって精進修学し、三十七道品に定まり、或いは菩薩六度に定まることを指す。意根が精進を始めて初めて、六識は精進できる。意根が懈怠すれば、六識は精進し得ない。もし意根が三十七道品を具足すれば、六識は必然的に具足する。意根は六識を監督統制する指揮官であり、六識は必然的に意根の指揮と調遣を受ける。故に修道の要諦は全て意根にある。

意根が作意して法に定まった後、六識は法に定まって散乱しなくなる。そして法の上で六識は作意観行を行う。意根がどこに定まるかによって、六識もそこに定まる。六識は意根に随って転ずるからである。意根の指揮棒は刹那毎に六識を指揮する。意根が定まらなければ、指揮棒を乱れさせて諸方に指揮し、六識が定まるだろうか。根本的に定まることはない。意根が仏法を精進修行して初めて、六識は精進できる。故に定とはまず意根の定、意根と相応する定を指す。

意根が仏法に定まって修行し、常に五蘊の虚妄を観行することを念じていれば、六識は観行を行うことができる。意根が参禅を欲し、如来蔵の法が重要であると認識して証得を求めるならば、意根は六識を監督して参禅させ、六識は参禅という法に定まって大乗法を精進修行できる。故に意根が定まらなければ、六識には定がない。専ら座禅によって修める四禅八定において、定とは主に誰の定を指すか。もちろん意根の定である。もし意根が降伏せず、座禅に定まらず、依然として諸法に縁り、他の法に攀縁し雑念を抱くならば、六識が座禅して定を修め、心念を滅することは不可能である。

故に四禅八定の定であれ、法に定まる定であれ、法に専注する集中力は、主に意根を指す。その後六識が定まり、心を息め、覚観を滅し、遂には識心までも滅する。意根が動いて初めて六識は動く。意根が指し示す所に、六識は必ず打ち当たる。六識を降伏させようとするなら、必ず意根を降伏させねばならない。五陰を降伏させるにも、まず意根を降伏させる必要がある。

成仏も主に意根を熏習成就させ、意根に一切法を証得させ、一切法を了知させ、無始無明と塵沙無明惑を滅尽させ、意根に戒定慧を具足円満させることである。衆生は必然的に成仏する。この衆生とは誰を指すか。即ち意根である。故に維摩経は「衆生の心行、如来蔵は衆生の心行を了知す」と説く。主に意根の心行を了知するのである。衆生とは即ち意根であり、意根とは即ち衆生である。意根が五陰を我と見做すならば、意根の我見を断除せねばならない。