意根の心所法（三）

　戒定慧の三無漏学は、意識が修学し具足すべきであるだけでなく、主として意根もまた意識の修学に随って具足しなければなりません。戒定慧の三無漏学を修学する際、もし意根が戒行を守らず、心が散乱し放逸怠惰となり、悪業を造作しようとするならば、意根が主導権を握り、必ず六識の身口意行に悪業を造作させます。よって戒律は意根を戒めることを主とします。もし意根を戒めず、ただ六識のみを戒めるならば、最終的に持戒を成就することはできません。六識は自らを主導することができず、意根が犯戒を望めば、六識は全く手の施しようがなく、ただ従うのみです。意根が戒を守れば、六識は必ず戒を守ります。持戒には表面的な持戒と、内心真実に戒を守り犯さないものとがあります。真実の持戒とは、即ち意根が戒を守り犯さず、内心において戒を守ることを指します。表面的な持戒は、仮初めに戒を守るふりをしながら、心では戒を犯している場合もあり得ます。

　意根に定があって散乱しなければ、初めて方々に攀縁せず、六識もまた定を持つことができます。もし意根が散乱しているならば、意識が定を得ようとしても、それは不可能です。意根が仏法に心を定めれば、意識は初めて一心に専精して修行し、仏法に定まって動揺しなくなります。もし意根が動揺して定まらなければ、意識は全く手段がありません。戒によって定が生じ、定によって慧が発します。定が強くなれば、意識と意根が共に大智慧を生じ、最終的に識を転じて智と成すことができます。定がなければ、大智慧を生じることはできず、識を転じて智と成すこともできません。