六識における五遍行心所の働き（三）

五つの心所法が一連の運行過程において、触心所は必ず存在しなければなりません。すなわち根・塵・識は和合して一体となる必要があり、分離してはならないのです。もし識が塵境から離れれば、触は消滅し、存在し運行することができなくなります。また塵が根から離れれば、識の出生はあり得ません。さらに、六識が六塵に触れることによってのみ、境界を受容し了別することが可能となります。触はこの前提条件なのです。もし我々が再び了別せず、感受せず、身口意行を持たないことを望むならば、識を塵に触れさせ続けず、六識の注意力を転じ、もはや作意しなければ、後の心行は生じません。これが定を修め心を修める最善の方法であり、この修行によって塵境を忘れ、念想を起こさず、あるいは少なく起こす境地に至ることができます。阿羅漢たちはまさにこのように実践しております。故に彼らには通常、情緒の動揺がなく、感受も稀で、境界に対し心を動かさないのです。

一般的な衆生が境界に接触する時、貪愛と愚痴があるが故に、一旦境界に触れると離れようとせず、長時間にわたり了別し感受し、思考を巡らせ続けます。そのため内心は閑静を得ず、思念は乱れます。ある人々は慧力が不足しているため、了知が不明瞭で思考も明確にならず、決断を下すことができません。そのため絶え間なく境界に触れ、反復して思考を巡らせ、心を安んじることができないのです。思考が明らかにならないが故に、決断できず、絶えず作意と触を繰り返すことになります。

ある人々は一つの境界に接触するのに長い時間を要し、一つの事柄を思考するにも長い時間を費やします。その理由としては、心に貪愛があること、事柄が複雑で了別する慧が劣っていること、そしてその事柄が重要であるため必ず了別思考を明らかにしてから決断しなければならないことなどが挙げられます。もし了知が不明瞭であれば、感受も不明瞭となり、思考もそれに従って不明瞭になります。これにより絶えず作意し、触し、了別し続けることになります。この過程において作意と触が運行する順序は必ずしも前後が定まっておらず、受と想の運行順序も同様に不定です。幾つかの心所の前後関係は全て一定ではないのです。