六識における五遍行心所の作用の仕組み（４）

五遍行心所法の運行の実相は、一つの喩えをもって説明することができます。例えば絵師が絵を描く場合、五遍行心所法は絵師に喩えられ、心所法が了別する六塵の境界は、絵師が描く山水画のようなものです。絵師が模写する際、まず眼前の風景を見る必要があります。視線を風景に向ける時、それは作意の作用であり、眼識を風景に転じることは注意力を対象に導くことに相当します。これが次の触と取相の心行を引き起こします。風景を見る行為が作意であり、作意の後に触が生じ、触の後に受が生まれます。この段階の受は単に六塵境界を受け入れる領納の作用であり、まだ苦楽憂喜捨などの感情を伴いません。

この段階では山水の美しさや壮観に対する評価も、風景の寂しさから生じる感慨もありません。了別と取相が未発生のため、単に境界を受け入れている状態です。受け入れた後に了別が起こり、了別は想に相当し、対象の認識が成立します。これが取相であり、境界相を取得した状態です。眼を引き心に留めて記憶し、山水の境界を確固と保持する過程が、思心所の運行に相当します。心に定着した境界を基に画板に描き始める動作は、思心所による造作であり、すでに身口意行が生起しています。

絵師が描画を続けるうちに心中の影像が曖昧になると、再び風景を見直します。これが再作意であり、触を繰り返す過程です。再触により新たな領受が生じ、この段階で山水の秀麗さや壮大さに対する情緒的感覚が発生します。最初の模写時から潜在していた詩情が顕現し、再了別と再考を経て描画を続行します。この一連の行為は作意・触・受・想・思の五心所法が循環する運行過程そのものです。

作意後に境界に触れ、触の後に受が続きます。了別が不十分な場合は再触が発生しますが、注意力が持続している限り新たな作意を要しません。境界から離脱していないため触が継続し、領受も持続的に行われます。これにより想心所が直接生起し、了別と思量が反復されます。この循環が山水画完成まで持続し、六識が完全に了知して最終決断が下される時、五遍行心所の当該境界における運行が完結します。身口意行の造作が終わり、模写工程が完了するのです。

五遍行心所法はまさに絵師の如く、常に対象境界に触れ、作意し、了別し、思惟し、了別された境界に従って模写を進めます。六識における五遍行心所の運行も、このような原理で展開されるのであります。