問:人眼には視覚残像の現象があります。実際の色相が既に滅した後も、その影像が暫く残ります。この残留影像は意識によって了別される独影境と言えるのでしょうか。
答:視覚は眼識と意識の共同作用です。視覚の残留は眼識が認知する顕色であるべきですが、同時に意識が形色表色と無表色を了別していることは確かです。意識もまた残留作用を有しております。眼識単独では視覚残留作用を生じ得ず、そうでなければ完全な色塵とはなりません。残留するのは独影境ではなく、独影境は独頭意識が単独で了別するものです。ここには眼識も共同で了別しております。視覚残留作用がある故に、私たちは色を見る行為が連続的であると感じ、了別される色塵も連続的であると認識するのです。実は全て連続的ではなく、刹那に生じ、刹那に滅する断続的なもので、断絶しては再び続くものであります。
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