意根の智慧

第六識と第七識の智慧の違いは、意根が意識のように六塵の境界に対して細やかで具体的な了別を持たないという点のみであり、それ以外においては、意根の慧は非常に優れたものであります。我々が世間の事柄、特に非常に緊急を要する事態や極めて多忙な状況に対処する際、多くは意根の経験と慧に依存しており、意識では対応しきれず、分析も処理も追いつかず、ただ意根の指揮と采配に従うほかありません。このような状況は時に「随縁」と呼ばれ、時に「運命に任せる」と言われますが、結局は解決され、時には非常に円満で思い通りの結果をもたらすこともあります。

意根は独特の大智慧を有しており、例えば危険に直面しても動じない冷静さ、整然とした秩序、揺るぎない決意、寛大な心構え、非凡な胆力など、これら全てが意根の慧であり、実に驚くべきものです。特に多生にわたって人として生を受け、指導者や将軍、大臣などを務めた者、経験と見識に富む者の意根の慧は極めて強力で、これらの事柄は主に意根の慧に依拠して処理され、意識は補助的な役割を果たすに過ぎません。

大将軍が戦場で指揮を執る際、緊急の決断や重大な戦略は、往々にして意根の無言の智慧と経験に依るもので、意識は通常力を発揮できません。福徳を備え、自らの見解と深謀遠慮を持つ者は、事態に直面しても常に平静を保ち、急いで対応したり決定を下したりせず、時至れば自然と解決策が生まれるものです。これこそ意根が導き出した方法であり、意根は自ら道を見出す力を有しています。芯の強さも意根によるもので、俗世間で言う「揺るぎない信念」とは、まさに意根が自らの主張を保持し、意識が関与する必要のない状態を指します。

大いなる智慧を持つ者、聡明な者、理性的な者、教養ある者は、依然として意根の智慧を主とし、意識は狡知や策略を用いず、意根が自ら采配を振るいます。この大智慧は、意根が熟考を重ねた結果であり、また意根が長年の経験を積み重ねた成果でもあります。

有能な人材を急遽育成することは不可能で、つまりその者の意識に学習させ、意根を教化しようとしても既に手遅れです。必要な素質はあらかじめ備わっており、先天的に具足しているものでなければならず、それは意根に内在し、既に完成された、生来の智慧であります。いわゆる慧根、善根、福徳とは、まさに意根が有する生得的な資質を指すのであります。