禅定において世の事の虚しさ無常を観ずる

問：時に動中の定において清清らかに静まり、心の感覚はあたかも大きな空白の幕布のようで、見聞覚知は幕布に現れる映像の如く、空白の幕と映像はともに意識の境界ではありますが、極めて清浄な時にはその顕現を感じ得るようです。主に空白から念が生起する刹那において、その後も空白と識が共存する際にこの感覚が持続します。譬えるなら、人が空白の幕布に筆を走らせて絵を描くが如く、清浄自在です。この感覚は主に耳根・眼根より生じる根識と意識にあり、自らが虚無の意識流あるいは肉体と感じ、家族に対しても見知らぬ感覚を抱き、世間にあっても疎外感を覚え、自らが世間に属さぬ感覚から出離を願う想いが生じます。心は清浄ながら空虚感があり、出離を願う気持ちがございます。このような感覚は如何なるものでしょうか。

答：この感覚は禅定中の観行における悟りでございます。定中において心は極めて清浄微細となり、思惟観行は深く細やかに及び、法に対する認知は明晰かつ深刻に至り、理解は本質に到達します。故に如何なる法の証得も必ず雑念無き心と専心致する状況下において感知され証得され、意根自らが証明するものでございます。意根が世の事象の虚妄無常を直に感知し証明するに至りてこそ、真実の出離心が発起され、虚妄の世事を求めず、転じて無上の仏道を求めるに至るのでございます。