隔陰の迷いと宿命通

意識には五蘊の隔たりという謎があります。いわゆる五蘊の隔たりとは、異なる世の五蘊を指します。今世の五蘊が滅び、来世の新たな五蘊が生じる際、身体と六識も新たに替わるため、六識は前世の事柄を記憶することができません。これを五蘊の隔たりの謎と呼びます。四禅八定を修めず、宿命通を得ていない者、あるいは生来の宿命通を持たない者は、六識において前世の経験を全く知ることができません。宿命通がなければ前世来世の事を知ることは叶わず、宿命通を有する者は自他の前世来世の一切を了知します。

衆生が前世で命を終えた後、今世の五蘊は新たに形成され、六識も新たに生じます。すでに前世の六識ではないため、前世の人事物を知ることは当然不可能です。今世の六識心は今世の五蘊において一切の人事物を記憶・了別するため、今世の事柄のみを記憶し、今世に記憶した一切の法のみを了知します。今世の五蘊は前世の元々の五蘊ではないため、六識が前世の五蘊によって造作された事柄を記憶することは原理的に不可能です。

しかし意根は無始劫以来常に存在し滅することなく、自らに生生世世の煩悩習気を蓄積しています。そのため今世の五蘊と前世の五蘊は、習気煩悩において連続性を有します。仏法を学び修行しなければ、習気は次第に重くなります。第八識もまた無始劫以来継続しており、故に今世の五蘊と前世の五蘊には連関関係が存在し、無関係な二つの生命体ではありません。我々が仏法を学び修行する際は、来世の自己のために慮り、今世のみに生きて来生を顧みないことがあってはなりません。五蘊の隔たりの謎を解きたいと願うなら、宿命通を修学すべきです。禅定を四禅まで修めれば宿命通を成就できますが、宿命通は解脱や智慧とは直接関係がありません。菩提を証得する前に神通を修学する必要はなく、そうでなければ道を障げる因縁となります。