菩薩の六波羅蜜を修めこそ、悟りを開くことができる

世尊が花を拈えて微笑まれた公案において、仏が花を拈えて微笑まれた時、迦葉は悟ったのである。迦葉が悟ったのは、花が生滅幻化の仮のものであると理解したのではなく、如来蔵を悟り、仏の無垢識が仏身において作用する行相を見出したことにより、明心開悟したのである。公案はまさに開悟明心して如来蔵を証得することを導くものである。仏が手にされた花も含め、万法はすべて如来蔵が幻化したものであり、生滅幻化の仮象ではあるが、これらの仮象の中から一つの真実を悟り、その真実を見出した時に明心開悟するのである。 

開悟して如来蔵の真心を証得するには、いかに修行すべきか。菩薩の六波羅蜜、すなわち布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧を修めねばならない。布施は福徳を積む修行であり、大乗仏法において福を種まき、福徳が十分に蓄積されて初めて菩薩の福徳を具えた明心見性の菩薩となる。ゆえに福徳は必ず修めるべきものであり、福徳なくしては禅定も智慧も得られない。福徳は一切の修行の基盤である。布施の後に持戒を修める。持戒は心を収め散乱を防ぎ、心を清浄にして悪業を造らせない。心清浄にしてこそ禅定が生じ、定力が生起すれば定境に安住して仏法を思惟し観行でき、こうして初めて仏法を参究し、証果と明心見性が可能となる。

明心見性には更に何が必要か。般若智慧が必要である。如来蔵の体性を理解し、五陰万法の作用の中に如来蔵を探求する方法を知らねばならない。般若の体性、如来蔵の体性を明らかにし、五陰万法の中に求めようとするなら、まず五陰を究明せねばならない。五陰の作用原理を明らかにし、その運行の脈絡を把握する。五陰を究明し、如来蔵を明らかにし、六識七識を理解した上で、禅定の境地において、識心の作用や五陰の中に如来蔵を参究する。因縁が具足すれば如来蔵を証得できるのである。

布施・持戒・忍辱・精進・禅定、そして般若智慧の修学、これらの条件が具足すれば明心見性が可能となる。仏法は既に道標を示されている。あとは自ら実践修行するのみである。何を修めるのか。布施による福徳、精進の行、禅定、般若智慧、忍辱による心行の転換、これらを修めれば開悟できるのである。