脳が意識機能の強弱を決定する

夢の中の独頭意識と夢の外の独頭意識はどのような違いがあるのでしょうか。睡眠中には気血の運行が弱まり、脳内の気血運行も弱まります。六識は脳の勝義根によって生じ運行されるもので、夢の中で独頭意識が生じた後、勝義根の状態により意識心の機能が比較的弱くなります。夢の中での意識の了別は明瞭さや細やかさを欠き、記憶も定着しにくくなります。もし意根が夢の内容を非常に重要だと感じ、強い刺激を受けると、印象が深く刻まれ、独頭意識にさらに強い印象を与えます。目覚めた後、意識は鮮明に記憶を留め、夢の内容をはっきりと思い出すことができます。

外的要因によって脳が損傷し昏睡状態に陥ると、六識は消失します。目覚めた後、記憶を失う人もいます。これは脳の損傷が意識機能の発揮を阻害し、情報統合機能が混乱あるいは弱体化するため、一定期間の人事を思い出せなくなるためです。脳に強い刺激を与えると、意識が記憶を回復し、過去の人事を思い出す可能性があります。子供や幼少期の記憶が定着しにくいのは、脳の発達が不完全で意識機能が弱く、記憶が不安定なためです。高齢者の意識機能は一般的に若い頃より弱く、了別が粗雑になり、心の働きが鈍くなる、いわゆる「老いぼれ」状態となります。

気血の運行が滞ると脳を損傷し、人は愚鈍で痴呆状態になります。よって六識は依他起性であり、因縁によって生じた法であって、極めて虚妄なるもので依存すべきではありません。六識は我ではなく、また我の所有するものでもありません。中陰身においては意識の機能作用がさらに微弱になります。中陰身は仮に生じたもので四大が粗悪で人身に遠く及ばず、意識の機能作用を著しく阻害するためです。中陰身では意根の心行が主体となり、意識は効果的に意根を制御できず、意根の本性が来世の趣向を決定します。よって意識による証果は紙張りのような儚い果報に過ぎません。