瑜伽師地論 第三十四巻（五）

原文：また世尊は言われた。「比丘たちよ、知るべきである。この器世間は長時にわたって安住するが、これを過ぎた後、次第に七つの日輪が現れるに至る。『七日経』に広く説かれる如く、ついに全ての大地、諸山大海、及び須弥山大宝山王、さらには梵世に至る諸器世界は、ことごとく焼かれる。災火が滅した後は灰燼も現れず、ついに残影すら得られない」。この法門によって、世尊は諸器世間が無常なることを示された。かくの如く、至教量理に依り、観行を修める者は清浄なる信増上の作意力によって、一切の行の無常の性を決定して得る。決定を得た後は、即ちこの如き清浄信増上の作意力によって、数数を尋思観察し、一切の現見は背かず、他縁によることなし。

釈：世尊は『起世因縁経』において説かれた。「比丘たちよ、娑婆世界のこの器世間は今なお長く安らかに住しているが、この期間を過ぎれば次第に二つの太陽、三つの太陽が現れ、ついには七つの太陽が現れる。『七日経』に説かれる如く、この時器世間の全ての大地、諸山大海、及び欲界天の須弥山、さらには色界の全ての器世界は焼き尽くされる。災火が過ぎ去った後は灰燼も消失し、いかなる影像も見出されない」。

世尊の説かれたこれらの事柄は、一切の器世間の無常性を明示している。世尊の教示を聞き、世尊の説かれた至教量理に依止して観行を修める者は、諸行無常に対する清浄なる信が増上し、諸行無常への作意力が強まる。これによって一切の行の無常の性に対する決定を得る。心に決定を得た後、再びこの清浄信増上の作意力によって絶え間なく諸行無常性を尋思観察すれば、一切の行の無常性を現見し、至教量理に背かず、この現見は他縁によるものではなく、如実の観察によって自心に現前するものである。

諸行無常を観察するには清浄信力を要す。世尊の説かれる諸行無常を信じ、心を清浄にして他念をなさない。清浄信によって初めて作意観察が可能となる。清浄信がなければ、諸行無常を信じなければ、作意観察は生じない。観察とは自心の現見であり、現見でなければ現前の観察とは言えない。自心現見は現量観察・現量所証ともいう。現とは現前存在・真実存在の意であり、思惟想像によって補われるものではない。修行者は世尊の諸行無常の至教量理を薫習し、禅定において諸行の無常性を観察する。縁熟すれば諸行が確かに無常であることを現見し、ついに苦諦を実証する。諸行が苦であることを現見すれば、再び苦を受けたくないと願い、苦を滅する願望が生起する。