大乗法における二十種の空

大般若経第五十一巻において、仏は大乗に二十種の空があると説かれ、菩薩はこれらを学ぶべきであると示されました。それらは内空・外空・内外空・空空・大空・勝義空・有為空・無為空・畢竟空・無際空・散空・無変異空・本性空・自相空・共相空・一切法空・不可得空・無性空・自性空・無性自性空です。世俗法の空とは無・没有・不存在・不可得を指し、自性如来蔵の空とは世俗法の一切の相を離れた空を指します。これは世俗法とは異なり、本体は実在しますが、世俗法を認知するような方法では認識できず、世俗的な認識方法で如来蔵の空を認知しようとすると誤解を生じます。二十種の空の内略を概説します：

内空とは内法の眼耳鼻舌身意が空であること。外空とは外法の色声香味触法が空であること。内外空とは内外法の内六処と外六処が空であること。

空空とは一切法が全て空であり、この空もまた空であること。大空とは東西南北四維上下の十方が空であること。

勝義空とは涅槃が空であること。涅槃がなぜ空かといえば、涅槃は如来蔵本体が示す寂静の状態に過ぎず、状態自体は真実の法ではなく、ましてや如来蔵によって顕現されたものであるためです。涅槃と如来蔵本体を混同すべきではなく、前者は虚、後者は実です。

有為空とは欲界・色界・無色界の三界が空であること。三界は造作されたもので有為法であり、無から生じた法は本来空です。無為空とは生住異滅の現象が空であること。生住異滅の現象は空であり、無生住異滅の現象もまた顕現された空です。有無は仮立の法に過ぎません。

畢竟空とは諸法が究竟において不可得であり、この不可得もまた空であること。可得も不可得も戯論に過ぎません。無際空とは一切法に前際・中際・後際が不可得であり、事物の発生・展開・変化の前後が不可得であること。この不可得も空です。

散空とは一切法の離散・散壊・棄捨が空であること。無変異空とは不変・不壊・不離散・不捨棄が空であること。本性空とは一切法の本性が空であり、有為無為を問わず、その法性は誰にも造作されないこと。

自相空とは一切法の自相が空であること。例えば色蘊の質礙、受蘊の領納、想蘊の取像、行蘊の造作、識蘊の了別、これら全ての自相が空です。

共相空とは一切法の共通相が空であること。有漏法の苦、有為法の無常、一切法の空無我など、あらゆる共相が空です。阿羅漢の証する五蘊空・無我も、辟支仏の証する十二因縁も空です。

一切法空とは五蘊・十二処・十八界、有色無色・有見無見・有対無対・有漏無漏・有為無為を問わず、全てが空であること。

不可得空とは一切法が不可得であり、この不可得もまた空・不可得であること。三世にわたる法は、いずれの時点に立脚しても不可得です。

無性空とは一切法に性質・属性がなく、この無性もまた空であること。例えば水に水性・非水性・湿性・軟性など一切の性がなく、この無性も空です。

自性空とは諸法の自体制御性が空であること。無性自性空とは諸法の無自性・無主宰性が空であり、和合性も所和合性も空です。

諸法の有性・無性・自性・他性は全て空です。有性空とは五蘊の有の性が空であること。無性空とは諸法の無為性が空であること。自性空とは一切法に自性がなく、この空は智慧や見解によって成るものではありません。他性空とは仏の出世・不出世に関わらず、一切法の法住・法定・法性・法界・平等性・離生性・真如・不虚妄性・不変異性・実際が他性によって空であること。

要するに、凡ての言説に実義なく、凡ての知見・指示・観念・思惟・造作・法想に実義なく、一切が空尽くされます。ただ空じ尽くせぬものが不空の空であり、これを除き全ては空です。