衆生無辺誓い度す
煩悩無尽誓い断つ
法門無量誓い学ぶ
仏道無上誓い成す

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日常開示

2019年02月24日    日曜日     第3 回の開示 合計1291回の開示

ブラックボックスワールド(十)

例えば、足を怪我した際に、後頭部において身根の触塵を伝達する神経伝導路を断ち切ると、身識は痛みを感じなくなります。たとえ足が完全に切断されても、身識は存在せず、痛覚も生じません。これは後頭部の伝達神経が断たれることで、外界の触塵が身根の神経伝導路を通じて伝わらず、第八識が勝義根という「ブラックボックス」において内相分の触塵を顕現できなくなり、身識と意識が生起せず、足部の状況を了別できなくなるためです。

身根の触塵が勝義根に至る経路の一つは後頸部に位置し、この部位を損傷すると全身が麻痺し、頭部を直立保持できなくなります。後頭部の勝義根が損壊すると外界の五塵の伝達路が遮断され、第八識は対応する内相分を生成できず、五識が現起せなくなります。これにより五塵を了別できず、身口の行為も生起し得ず、微細な意識のみが生命維持を支えますが、持続は困難です。例えば外眼根が損なわれると外色塵を受け取れず、内眼根(眼の勝義根)が損なわれると内色塵が形成されず、眼識が生起して色塵を了別することが不可能となります。他の諸根も同様の理路であり、我々が了別するのはブラックボックス内の内相分の影に過ぎません。

生命が存続する限り、勝義根の損壊は部分的に留まり、完全損壊は生じ得ません。完全に損壊すれば内五根が機能停止し、五塵が生起せず、五識の現起が不可能となるばかりか、意識も現起せず五塵上の法塵を了別できなくなります。この状態において意根は五陰身が使用不能と判断し、新たな色身を求めて離脱を決意します。勝義根が完全に損壊せず一部が残存するため、植物状態や麻痺患者が生じるのです。

植物状態を詳細に観察すると、身体に微細な活動や感覚が残存していることが分かります。これにより意根は当該色身を未だ使用可能と認識し、離脱を選択しません。意根は無始劫来より色身に執着し、やむを得ない状況に至るまでこれを放棄しない性質を有します。これらの事例は、我々が了別する六塵が勝義根ブラックボックス内の影像であり、外界五塵が神経伝導路を介して形成した非実体的な内相分であることを示しています。しかし虚妄性を理屈で理解するだけでは意根の執着慣性を転換できず、相応の禅定力を修習し、漸次的に意根の我執性を調伏する必要があるのです。

——生如法師の開示
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