識を捨て根を用いるには如何にすべきか

「識を捨て根を用いる」における「根」とは衆生の根性を指すと言う人もいますが、実際には意根を指しています。根性もまた識の機能作用であり、識を離れては根性について論じることはできません。善根や根性は、一般的に生来備わっている第七識である意根の智慧を指します。

「識を捨て根を用いる」は、普通の人が座禅を行う際に用いることができます。六識、特に意識の情思意解や推量、分析、推理、比較、判断を捨て去り、専ら意根の思量性を用いることで初めて道を証することができます。道を証した後の修行においても、引き続き意根を用いることを心掛けます。意根を用いることで直接性と深遠さが得られ、率直さ、正直さ、純粋さ、真実味、清らかさが現れ、全ての事柄を成就させることができます。言葉にしたことは必ず実現し、達成しても敢えて語らないこともあります。

禅定がなければ意根を用いることは難しく、常に意識の推理と解釈に頼ることになります。これは容易ではありますが表面的なものです。理解は証得より遥かに速いものの、実際の役には立ちません。三昧を得ずして解脱することはなく、生死を了えることはできず、意識が滅びれば全てが無駄になります。禅定が深まるほど意根の働きは増し、その力は強まり、問題解決能力が高まります。三昧が深まるほど智慧は透徹し、解脱の力は増大します。