成仏に関する対話

甲：証果明心は意識による悟りだけで十分であり、意根が同時に悟る必要はありません。

乙：意識が証果して聖人となった後、夜に眠りについた時、その者は聖人としての身分でしょうか、それとも凡夫としての身分でしょうか。

乙：この者が目覚めていない時、凡夫か証果者か。もし永遠に深い昏睡状態に陥ったらどうなりますか。

甲：第八識には法種が残されています。

乙：第八識内の法種は無数に存在し、地獄に堕ちる極めて重い業種もあります。いったいどの業種がその者の身分を決定するのですか。

甲：重い業種を持つ意識の証果が主となります。

乙：意識は証果しましたが、意根は悟っておらず、意根の貪・瞋・痴による無明の煩悩も重大な業種です。意根の無数の貪瞋痴地獄業種は、意識の証果業種より強力ではないですか。

甲：・・・・・・・・・

乙：転生時には意識が滅び、意根と第八識が転生します。この時、意識の証果身分として転生するのか、それとも意根の凡夫身分として転生するのか。

甲：第八識内の業種によって転生します。

乙：第八識内の意根が持つ無数の貪瞋痴煩悩業種は、意識の業種より確実に強力です。意識が修習した法は成熟し得ません。軽微すぎるからです。一方、意根に相応する煩悩業種は極めて重く、この場合どこに転生するのですか。

甲：意識証果の業種が重いのです。

乙：意識証果は意識に相応し、意根には相応しません。意識が現行する証果の智慧に対し、意根の煩悩業種は意根に相応し、意根が現行する煩悩の業行となります。意識が滅んだ状態では、意識は証果の智慧を現行できず、意根は貪瞋痴我見の煩悩業行を現行します。この場合どこへ転生するのですか。

甲：・・・・・・

乙：もし仏法の修習が全て意識によるものであれば、中有において意識はどれほどの作用を持ち得ますか。中有では意根の染汚業力の作用が大きいのか、それとも意識修習の力が大きいのか。

甲：転生時には必ずしも中有を経由しません。例えば地獄直堕や天界昇転の場合です。

乙：中有を経ない転生は生前の重大な善業・悪業によるものです。衆生の意識証果の善業が大きいのか、意根未証の貪瞋痴染汚業が大きいのか。意識証果は中有なしで直接天界へ昇るのですか。

甲：正法を修習すれば結局は役立ちます。

乙：正法を修習しても貪瞋痴煩悩が具足し、少しも断たれていなければ、煩悩業種は全て第八識に留保されます。中有で煩悩業が現前した時、煩悩業に依って転生するのか、修習した法に随って転生するのか。

甲：意識証果の善業に依って転生します。

乙：しかし意根は畢竟証果せず、生前の貪瞋痴が極めて重く、染汚業種が意識証果の業種を上回ります。この場合、強業先牽の理により、意根染汚の凡夫身分として転生するはずではありませんか。

甲：・・・・・・

乙：安易に「仏法を学べば業種が蓄積され、善道に転生し三悪道を離れる」と考えるのは極めて偏った見解です。各人が善法を修習しても、第八識内の悪業は依然として重く、善法は悪法に対抗できず、結局強大な悪法が主導権を握ります。これではどうして三悪道の果報を免れ、善道へ生まれ変わることができるでしょうか。意識の修習は如何なる場合でも意根の業力に敵いません。意根の業力を転換して初めて善道への転生が保証されます。業力とは即ち意根の力です。意根が証果しなければ業力は変わらず、必ず意根の染汚に随って三悪道で報いを受けます。無数の学仏者が命終時に示す状況がこの道理を証明しています。