衆生无边誓願度
煩悩无尽誓願断
法門無量誓願学
仏道無上誓願成

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日常法話

2019年03月04日    月曜日     第3開示 合計1308開示

ブラックボックスの世界(三十二)

道中で嗅ぎ取る香りの塵(こうじん)の匂いも同様で、経由する場所が異なれば、それぞれの場所から発せられる匂いも異なります。これは外なる香塵が絶えず変化していることを示しており、香塵は鼻根(びこん)を通じて伝わり、勝義根(しょうぎこん)に入って内なる香塵を形成し、ブラックボックス内の映像となります。私たちの鼻識(びしき)と意識はこの内なる香塵を嗅ぎ取り、次々と匂いが伝わってきます。通る場所が違えば伝わる匂いも異なり、私たちが嗅ぐ匂い(香塵)も異なりますが、感じる匂いは外界と全く同じであるため、自分が嗅いでいるのが外なる香塵であり、それがこのように実在するものだと思い込んでしまうのです。あちらから、レストランから、花から、木から、ある人の体から伝わってくる匂いは、いずれも本物の物質的な匂いのように思えますが、実際には全てブラックボックス内の内なる香塵の匂いに過ぎません。

口で食べ物を味わう際も、飲食に伴う外なる味塵(みじん)の変化に応じて、私たちの舌識(ぜっしき)と意識が感じ取る内なる味塵も絶えず変化します。そのため、自分は本物の食物を食べ、本物の様々な酸味・甘味・苦味・辛味を味わっていると思い込み、全てがまるで本物であるように感じてしまうのです。実際にはこれらもブラックボックス内の内なる味塵、すなわち影に過ぎません。私たちがその影を非常に現実的に感じるのは、それが外なる味塵と同一であるため、その虚構性を感知できないからです。

私たちの体で感知する触塵(そくじん)も、道中のそよ風の吹き付け、暖かな陽射しの照りつけ、その他の触覚的刺激は常に変化していますが、私たちが感じているのはブラックボックス内の内なる触塵に他なりません。外なる触塵は絶えず変化し続けており、陽射しの移り変わりとともに次第に暖かくなったり、あるいは気温が下がってますます涼しくなったりします。ある場所では微風が吹き、別の場所では風がやや強く、また別の場所では全く風がありません。手が花に触れたり、木に触れたり、何らかの物体に触れたりと、これらの外なる触塵は絶え間なく変化しています。

——生如法師の開示
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