仏は説かれた、降伏すべきはこの七つの妄心であると。では如何にして降伏するのか。世尊は説かれた、全ての一切衆生の類、即ち卵生、胎生、湿生、化生、有色、無色、有想、無想、非有想非無想のすべてを、我は皆、無余涅槃に入らしめて滅度せしめん。かくの如く無量無数無辺の衆生を滅度せしめながら、実に衆生の滅度を得るもの無し。三界の衆生は四生九有二十五種に分かたれる。卵生とは、有情衆生が母胎に住まず、父母によらず出生し、意根が阿頼耶識を伴って直接に卵殻に入り、外縁の温度等の条件が具足すると、胚胎が生長し、殻を破って出るものを指す。鶏、鴨、蛇、鳥の如し。胎生とは、衆生が中有において意根が阿頼耶識を伴って母胎に投じ、六根が生長成熟して母胎を出るものを指す。
胎生には全ての人類、大部分の畜生、一部の鬼類、一部の阿修羅が含まれる。湿生とは、一定の温度湿度条件下(水辺、海辺、湿った土壌や空気中など)で生まれる無福の衆生を指し、各種の昆虫や細菌、一部の阿修羅などがこれに当たる。化生とは、変化して生じるものを指し、各層天界の天人、他国土の衆生、鬼神類の非人類衆生、地獄衆生、一部の阿修羅類及び一小部分の畜生類、神通力を持つ菩薩や羅漢などが含まれる。有色衆生とは、色身が存在する欲界・色界の衆生を指す。色身は色薀とも呼ばれ、投胎して受精卵に入る時から出生を経て最終的に滅するまでの形体をいう。阿頼耶識と前七識が色身に住持するが故に、色身は様々な身口意行の行為造作を持つ。これを色薀という。そうでなければ死屍や無情物、即ち植物類や鉱物類となる。
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