催眠中の前世に関する記憶及び行動表現は、すべて意根の行為であり、意識とは関係なく、また意識の制御も受けません。意識の心理と行為は現世のみに関係し、前世とは無縁です。意根は生々世世に関わります。しかし意根はただ一生一世を有するのみであるため、意識の影響を受けなければ、あらゆる事柄は意根にとってあまりに遠いものではなく、あたかも目前の如きものであります。
催眠中の一切の行動表現は、すべて意根自身の習性であり、意根の体性を体現しています。催眠中に善性あるいは悪性が現れ、善心所法あるいは悪心所法が生じ、貪心あるいは瞋心があろうとも、これらはすべて意根の特性であります。
さて意根が五陰前世の全ての事柄を顕現したことは、意根に記憶機能が備わっていることを示します。ただし意根の表現は現世催眠中の意識を媒介とする必要があり、この時の意識はただひたすら意根の指令に従うのみで、みだりに自主判断せず、意根を統制しません。意根が顕現するものはそのまま意根の本来の面目であり、意根の本性そのもので、偽装や虚構はありません。我々が意根の体性をありのままに体得しようとするならば、催眠状態の意根を観察し思惟することにより、意根を理解し智慧を得ることができるでしょう。
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