次に十八界について見ると、六根・六塵・六識を含む。六根は眼・耳・鼻・舌・身・意の根である。眼根は浮塵根と勝義根に分けられる。地水火風の四大元素から構成され、身体の外側にある葡萄の粒のようなものを浮塵根といい、外眼根とも称する。後頭部において視覚伝達神経が繋がり、視覚を司る大脳後頭葉皮質は勝義根であり、これが眼識の依り所となり、そこに眼識が生起する。勝義根が損なわれれば、たとえ眼根が無事でも色を見ることはできず、これを「見えている盲人」という。眼根は受精卵の段階で如来蔵が母体の地水火風四大元素(栄養)を吸収して造るものであり、生滅する法であり、無常の法であり、虚妄の法であり、苦である。つまり無我である。
耳根は浮塵根と勝義根に分けられる。身体の外側にあり、誰もが見られる新芽のように巻いた葉のようなものを浮塵根という。伝達神経が大脳後部の聴覚を司る大脳皮質に繋がっている部分を勝義根といい、これが耳識の依り所となり、そこに耳識が生起する。耳根は胎児期に如来蔵が母体の栄養を吸収して造るものである。生滅する法であり、無常の法・虚妄の法であり、苦なる無我性である。
鼻根は浮塵根と勝義根に分けられる。浮塵根は身体表面にあり、二つの嗅球あるいは胆嚢のように垂れ下がったもので、匂いを受容する器官である。匂いを受けた後、嗅覚伝達神経が大脳皮質に伝達し、そこに鼻識が生起して初めて香りと臭いを識別できる。後頭部の大脳皮質は勝義根であり、嗅覚を司り、鼻識の依り所である。鼻根も受精卵の段階で如来蔵によって造られ、生滅的であり、無常であり、虚妄であり、苦である。すなわち我ではない。
舌根は地水火風の四大元素から構成され、受精卵の段階で如来蔵によって変生される。浮塵根と勝義根に分かれる。身体の外側にあり、口を開ければ見える半月状のものが浮塵根であり、味覚受容器である。味覚伝達神経が大脳皮質に伝わり、そこで如来蔵が舌識を生起させ、様々な味塵を識別する。後頭部の大脳皮質は勝義根である。舌根は生滅的・虚妄的・無常的であり、苦である。すなわち無我である。
身根は地水火風の四大種によって造られ、三十六物が集積している。外相十二物:髪・毛・爪・歯・目やに・涙・よだれ・唾・屎・尿・垢・汗;身器十二:皮・膚・血・肉・筋・脈・骨・髄・脂肪・膏・脳・膜;内類十二:肝・胆・腸・胃・脾・腎・心・肺・生蔵・熟蔵・赤痰・白痰。各部分の皮膚・筋肉はもとより臓腑にも感覚があり、伝達神経が脊髄を経て大脳皮質に伝わり、そこで身識が生起して初めて触覚を感知できる。大脳皮質は勝義根であり、後頭部にある。この部分が損傷すると全身が麻痺し植物状態となる。浮塵根は肉の桶のようなもので、肉眼で見えるため浮塵根と呼ばれる。身根は生滅的・無常的・虚妄的・苦的であり、すなわち無我である。
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