五別境心所法もまた、識心の運行に伴うものであり、識心の運行を補助する作用を果たします。しかし、普遍的に識心の運行に伴うことはできず、一切時にわたって識心の運行に伴うことも、一切処において識心の運行に伴うこともできません。ただ一切地において識心の運行に伴うことが可能です。
欲心所法とは、識心が何かを造作しようとする欲望・打算・考え・要求を有するものであり、後続する識心の運行を引き起こす因となります。ただし、常に欲を有するわけではありません。勝解心所法とは、識心が法に対する充分な理解力を有する状態を指します。識心が勝解力を得て法を理解した時、初めて正しい抉択が可能となり、智慧によって理に適い真実のままに造作することができます。念心所法とは、識心が造作しようとする法、あるいは現在造作中の法に対して念想を起こし、後続する法の抉択造作と継続的造作を引き起こすものです。定心所法とは、識心が散乱せず昏沈しない専注状態、つまり識心の注意力が高度に集中統一された状態を指します。慧心所法とは、識心が有する強大な了別力・領会力・受容力・弁別力・抉択力・造作力であり、識心の持つ問題処理能力の卓越性を示します。
これら五つの能力は常に現れるものではなく、個別の状況下においてのみ発現します。しかし第八識の勝解力・定力・慧力は常に存在し、常に現前し、あらゆる処に存在して現前します。一切法を遍く了別し運作し、三界九地の運行に遍満しているのです。
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