原文:須菩提よ。善男子・善女人が、後の末世において、この経を受持し読誦するならば、得る所の功徳は、我が詳らかに説かば、或る人は聞いて心狂乱し、狐疑して信ぜざるに至らん。須菩提よ、知るべし、この経の義は不可思議なり。果報もまた不可思議なり。
解釈:世尊は説かれた。須菩提よ、もし善男子・善女人が仏法が滅びゆく末法の世において、この金剛経を受持読誦し、如来蔵の実相法に依りて自心を修行するならば、彼の得る功徳は極めて甚大なるものと為さん。我が具体的に説き示すならば、この者が得る功徳の究竟なる相を、人は聞いて心乱れ疑念を生じ、信受できぬであろう。これは金剛経を受持する功徳が余りにも殊勝にして、凡夫の測り知る所にあらざるを示す。
須菩提よ、ここに知るべきは、この金剛経の深甚なる法義は測り難く不可思議なるが故に、これを受持する果報もまた不可思議なる所以なり。金剛経の義理に依って修学し、この般若の実相心を証悟すれば、福徳と智慧は次第に増広し、智慧は愈々深妙無量となる。福徳と智慧が円満具足する時、三界において無上士・無上尊と成る。この果報は真に不可思議なり。劫を経ても説き尽くし賛め尽くす能わざる功徳なり。
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