『大乗大集十輪地蔵経』に云く、仏は尊者優波離に告げたまわく「われ終に外道の俗人に比丘の罪を挙げしむるを許さず。われ尚ほ諸の比丘僧が法に依らずして軽率に破戒の比丘を呵責し挙発するを許さず、況んや駆擯することをや。若し法に依らずして軽率に破戒の比丘を呵責し挙発し、或いは駆擯するあらば、すなわち大罪を獲ん。
優波離よ、汝今まさに知るべし、十種の非法ありて軽率に破戒の比丘を呵責し挙発すれば、すなわち大罪を獲ん。
諸の智者は皆な受くべからず。何等を十と為すや。
一に、僧衆と和せずして国王の前において軽率に破戒の比丘を呵責し挙発すること;
二に、僧衆と和せずして梵志の衆の前において軽率に破戒の比丘を呵責し挙発すること;
三に、僧衆と和せずして宰官の衆の前において軽率に破戒の比丘を呵責し挙発すること;
四に、僧衆と和せずして諸の長者・居士の衆の前において軽率に破戒の比丘を呵責し挙発すること;
五に、女人の衆の前において軽率に破戒の比丘を呵責し挙発すること;
六に、男子の衆の前において軽率に破戒の比丘を呵責し挙発すること;
七に、淨人の衆の前において軽率に破戒の比丘を呵責し挙発すること;
八に、多くの比丘・比丘尼の前において軽率に破戒の比丘を呵責し挙発すること;
九に、宿怨嫌ある者の前において軽率に破戒の比丘を呵責し挙発すること;
十に、内に忿恨を懐きて軽率に破戒の比丘を呵責し挙発すること。此の如き十種を非法なる軽率の呵責挙発と名づけ、大罪を獲ん。
設い実事に依りて呵責挙発する者あるも、尚ほ受くべからず、況んや非実なるをや。諸れ受くる者も亦た大罪を得ん。
復た十種の非法ある呵責挙発は大罪を獲ん。諸の智者も亦た受くべからず。何等を十と為すや。
一に、諸の外道、比丘を呵責挙発すること;
二に、禁戒を持たざる在家の白衣、比丘を呵責挙発すること;
三に、無間の罪を造りて比丘を呵責挙発すること;
四に、正法を誹謗して比丘を呵責挙発すること;
五に、賢聖を毀呰して比丘を呵責挙発すること;
六に、痴狂心乱れて比丘を呵責挙発すること;
七に、痛悩に纏われて比丘を呵責挙発すること;
八に、四方僧の淨人、比丘を呵責挙発すること;
九に、園林を守る者、比丘を呵責挙発すること;
十に、罰せられたる比丘、比丘を呵責挙発すること。此の如き十種の非法なる呵責挙発は大罪を獲ん。
設い実事に依りて呵責挙発する者あるも、尚ほ受くべからず、況んや非実なるをや。諸れ受くる者も亦た大罪を得ん。『大乗大集地蔵十輪経』巻第三、無依行品第三の一
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