原文:大王。この地界が壊滅せんとする時、或いは火に焼かれ、或いは水に漂われ、或いは風に吹かれる。譬えば酥油を燃やすが如し。その炎は熾盛にして、灰燼に至るまで、再び見るべからず。若し水に漂わば、塩を水に投ずるが如く、須臾にして消散す。若し毘嵐の猛風に吹かれる時、かの三千大千世界は悉く散壊し、浄尽して余すところ無し。
釈:仏は説きたまう、大王よ、地界が壊滅せんとする時、或いは大火に焼かれ、或いは大水に没せられ、或いは大風に散らされる。地界が大火に焼かれる時は、譬えば酥油燈を点ずる如く、炎熾盛にして酥油を焼尽し、灰すら見えず。地界が大水に漂没する時は、塩を水に投ずるが如く、瞬時にして融消す。地界が毘嵐猛風に吹壊される時、三千大千世界は即時に全散壊し、跡形も無く消滅す。
地界の壊滅は如何にして起こるか。第一は大火による焼滅、火災の到来は色界初禅天に至るまで焼き尽くす。初禅天以下は悉く無に帰し、欲界六天と天宮も、須弥山も四大洲も地球も消滅す。世の終末には七つの太陽現れ、初禅天以下を焼尽す。二つの太陽現るれば地上の生命は瞬時に消え、七つの太陽には四大海水も枯渇し、地球は灰燼に帰す。
第二は水災、初禅天以下焼尽された後、天は象の如き雨滴を七日七夜降らせ、色界二禅天に至るまで浸水す。欲界六天と初禅天は没し、二禅天すらも水没する。
第三は風災、毘嵐猛風は色界三禅天に至るまで吹き荒れ、三禅天を散壊す。地球が未だ焼尽されずとも、瞬時に吹き払われん。欲界六天は跡形も無く散じ、如何なる堅牢なる七宝も風に散る。ただ如来蔵のみが三災を超越す。
三災過ぎ去れば四禅天以上を残す。四禅天と四空天、無色界天は災厄を免る。四禅以上は捨念清浄の境地に住し、災を招かず。三禅の禅定には尚呼吸(風)あり、故に風災を感ず。三千大千世界散壊の後、寂静無余、微塵も残さず。これ世界の虚妄なる所以なり。
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