原文:いかにして外風界という。すなわちこの風、四方より来たり、あるいは狂暴に起こり、樹木を摧折し、山峰を堕裂す。もし微細に起こるは、身衣を飄挙し、多羅樹を動かす。これを外風界と名づく。
釈:外風界とは何か。すなわち身体の外に四方八方から吹き起こる風を指す。あるいは激しく吹き荒れ、樹木を折り、山頂を崩す暴風。微かに吹き起こる場合は、衣を翻し、多羅樹を揺らがせる。これら全てが外風界に属する。
外風界は身体の外に生起するもので、器世間の四方八方に風は存在する。最も強い風は暴風・竜巻・狂風であり、樹木を折り山を裂く。しかしこれらは最大の風ではない。宇宙最大の風は三千大千世界を吹き崩す力を持ち、竜巻や暴風など問題にならない。世界が滅亡する時、風災が到来すれば器世間は全て吹き払われる。これが外界の大風の作用である。微風が吹けば軽い物を舞い上がらせ、草や葉を揺らぎ、人に快適さを感じさせる。これが外界の微風の作用である。
外界の空中に風が起こる時、風の起こる前にはどこに存在するのか。風の隠れる場所はない。もし風がどこかに隠れ得るなら、その場所は絶えず揺れ動くはずである。大暴風は通常何の理由もなく突然発生し、物体を吹き折った後は消滅する。では暴風はどこへ去るのか。行き場は存在しない。もし暴風が隠れる場所があれば、その場所も吹き払われて存在し得なくなる。
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