人に魚を授けるより、漁を授けるに如かず。魚は何を表すか。漁は何を表すか。魚は果実を表し、漁は果実を得る方法を表します。人に魚を授ければ、魚が尽きればそれまでです。人に漁を授ければ、根本的な技能を身につけ、尽きることのない果実を得、将来の衣食に憂い無く過ごせます。
漁とは戒・定・慧の三つの無漏学を指します。戒律を守り、禅定を修め、観行参究を通じ、思惟を重ねて解脱の智慧を得るのです。最初の慧は学慧、学び得た智慧であり、最後の慧は得慧、観行参究の後に開発される智慧です。これは自らの心の奥底から引き出した智慧であり、自らが独占するもので、誰も奪うことができません。しかし学慧は、昏昧な死を迎えれば霧散し、行方知れずとなるのです。
初めの戒律無くしては中間の禅定無く、禅定無くしては観行の智慧無く、観行の智慧無くしては智慧の魚を得ることはできません。
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