生死流転の業縁とは貪愛です

臨終の際、もし貪りの念があれば、家眷親族への執着であれ、人間の生活への執着であれ、財産や情愛への執着であれ、すべて餓鬼道に生を受けることになります。もし臨終の一念が瞋恚の念であれば、その対象が何であれ、程度が甚だしい場合は地獄道に生を受ける可能性があります。

従って、すべての望みを臨終に託し、その時に念仏を称え清浄な心を保てると考えるのは極めて頼りないことです。誰がその保証をしてくれるでしょうか。臨終の際に何が起こるか予測できず、自らの心の状態も定かではありません。平生の心すら制御できない者が、臨終に四大が分解し業障が現前する時、ほぼ確実に業縁に従って起動する念いによって三悪道へ堕ち、悪道を免れる保証はありません。三悪道を確実に免れるには、我見を断ち明心するか、観無量寿経第三観の地観を成就するほかありません。念仏によって往生の時を予知する者ですら確実ではなく、その時念仏の心が専一でなく誠心足りなければ、仏は迎えに来られません。

九割以上の学仏者は臨終に三悪道へ堕ち、その多くは餓鬼道に生を受けます。全ての人に貪欲があり、それを断じていないからです。貪欲を断じた状態とは我見を断った後、初禅定を生じ、その定中で貪欲と瞋恚を断じた場合を指します。初果と二果の聖者たる者には貪欲があっても三縛結を断じているため、もはや餓鬼道に生を受けることはなく、欲界天あるいは人間界に生を受けて貪りを徐々に断じます。

六道輪廻とはこのように無情で、情実を斟酌しません。真実の修行と証得がなければ、命終に業障に従って流転し、貪りの念に引きずられて生を受ける他なく、選択の余地はありません。平生に訓練がなく、訓練成就していないからです。我見を断った者こそ訓練成就の者と言えます。

しかし偽りの我見断ちや偽明心の者は依然として訓練未成就であり、三縛結を断じておらず、依然として貪りの念に従って餓鬼道に生を受けることから逃れられません。

数多の学仏者たちは自覚なく、日々飲食・衣服・住居に貪着し、享楽を好み、いわゆる自由を愛し、名誉を求め、安楽を貪ります。これらの愛着こそ煩悩の縛りであり、自らを六道に繋ぐ心の病であり、来世の業縁です。人は一生で享受すべきものをすべて享受しますが、来世はどうなるのでしょうか。現世の享楽が大切か、来世の三悪道苦を免れることが大切か。

高尚を装う修行法として「肉を食す時に肉を食すと思わない」と説くものがありますが、実際にその境地に至った者は済公和尚ただ一人、他に何人できましょう。既に肉に執着がなければ、なぜあえて肉を食する必要があるのでしょうか。畜生が一匹でも犠牲にならずに済む方が良くはないでしょうか。臨終にその肉の主が債権を求めて来た時、果たして返済を免れる力があるでしょうか。