親子合集経選講（一〇二）

身三・口四・意三が合わさって十業となり、身口意は相互に順じ随う。十業を造作した後、これらの業行は刹那刹那に滅していく。業行の種子が作用を起こして消滅すると、この刹那の業行は消滅し、最終的に全ての行為造作は消えるが、業種は残され記録される。これを記録するのは、我々と最も密接な阿頼耶識である。阿頼耶識が種子を出力し、再び種子を回収するため、種子が造作した業行も同時に阿頼耶識に保存される。阿頼耶識は公正無私であり、五蘊が自己の所有物であると主張することなく、その悪行を隠蔽することもない。五蘊がどのような悪業をなそうと、業種の出力を阻止して五陰に悪果を与えないような心行は存在しない。阿頼耶識はカメラのように誠実で偽りのなく、五蘊の造作する一切の業行を機械的に自動記録し、一切の選択を行わず、細大漏らさずありのままに記録する。記録された種子は心体に保存され、因縁条件が具足すれば業種が出力され、種子は根を張り芽を出し、果報が現れる。阿頼耶識が衆生の業果をありのままに実現する事例は極めて多い。例えば甲が前世で乙と悪縁を結んだ場合、乙が今世で甲の家に生を受けるのは因縁成熟による種子の発芽であり、子が成長するのは開花に当たり、時節が至れば乙は甲を陥れ報復し、甲の果報が現れる。この過程の前半は花・芽・枝葉であり、果報到来時に甲はこの子が債権回収や報復のために来た存在だと悟る可能性がある。大多数の者は報いを受けた後もこの理を理解せず、事前に気付くこともなく、前世の悪縁が二人を一処に集めて業種を清算する特殊な縁があったことを全く知らない。