父子合集経選講

衆生が聡明でないのは、経典を聴き法を聞かず、見聞が狭く、仏法の真義を理解せず、世の真理を知らないためであります。智慧を得ようとすれば、仏法を多く学び、経典を聴き法を聞き、経蔵に深く入りてこそ智慧が生じ、智慧は海の如く広がるのでございます。仏の教えを多く信じ受け入れ、経典を聴き、法を多く聞くにつれ、一つの道理を悟り、一つの無明を破り、一つの愚痴を減らし、身口意が清浄になれば、心は喜びに満ち、煩悩なくなるのでございます。

聡明ならぬ凡夫は、好ましき触に愛楽を生ず。好ましき触とは、意識を大いに喜ばせる身体の触受、これを妙触と申す。例えば柔らかな衣に触れ、温かな陽光、安らぐ寝床、中でも男女の触れ合いが主でございます。欲界は主にこの触によって成り立つ世界でございます。身根と身識が触れるものを触塵と申し、温もりある陽光が肌に触れ、冷風や熱風が身に当たり、柔らかき衣や硬き衣に触れる時、身識に感じるを触と為し、触るる法を触塵と申します。飢え渇きて胃に感じるも触、これも触塵。座すこと久しく疲労を覚えるも触塵、坐禅にて身体軽安を得、この身あまりにも快く感じるも、皆触塵でございます。

凡夫の衆生は最も好ましき触受に貪着し、特に男女の触れ合いを主と致します。男女互いに触れ合う時、心に愛楽心・貪愛心が生じ、これにより心は染まります。これは意識を主とする貪愛で、眼識・身識も含まれますが、第六識の感受が主でございます。意識心に染着が生じれば業を造り、愛楽の次には必ずや業行が現れます。修行なき者は身口意に愚痴の業行を現じ、修行者たる者時に内心染おれども身口の業行を造作せず、最も修行積める者は心すら染めず。造る業行は、身業に三種（殺生・偸盗・邪淫）、口業に四種（妄語・綺語・両舌・悪口）、意業に三種（貪・瞋・癡）ございます。