原文 :賢護が仏に白して言う。唯だ願わくは開示せんことを。仏、賢護に告げたまわく。夢中に見る者は、内眼所と名づく。是れ慧の分別にして、肉眼の見るに非ず。その内眼所は、念力の故をもって、盲者も夢中には須臾にして現ず。また念力をもって、覚めてこれを憶う。識の内色もまた是の如し。
釈:賢護が仏に申し上げた。唯だ世尊のご開示を願う。
仏は賢護に告げられた。夢の中で見る色は内眼の見る所と名付けられるもので、智慧の分別によるものであり、肉眼で見るものではない。盲人の意識心は意根の念力の故に、夢の中で瞬時に運行し、夢の中の一切の人や景物を見る。そして再び意根の念力の作用によって目覚め、夢の中の一切の境界を回想する。夢を見るのは意根の攀縁と念力の作用によるもので、意根の作意・受・想・思によって推し進められたものだ。目覚めた後、意根は意識心に夢の境界を回想させる。なぜなら意根自体は回想できず、細相を了別できないため、意識に回想を助けさせるのである。阿頼耶識が現す内色もまた同様で、意根の攀縁性と念力によって現れ出る。阿頼耶識そのものは無色であるが、一切の色、五蘊色をも現すことができる。
内眼とは意識心を指し、意識心の智慧性によって見られるもので、眼識によって見られるのではない。夢中には意識心のみ存在し、眼識はない。夢の中で見る色も眼識によって見られるのではなく、独頭意識の見る所であり、前五識が共に色を分別することはない。
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