時に賢護勝上童真、大薬王子に告げて言う。「善き哉、善き哉。仁の今問う所は微妙甚深なり。月実の問いは其の義浅狭なり、嬰児の如し。心は外境に遊びて内を知らず。正法は聞き難く、諸仏は遇い難し。仏の円広の智、測り難き深慧、至妙の理、専ら啓請すべし」と。
時に大薬王子、仏の熙怡たるを見る。顔容舒かに悦び、秋蓮の開くが如し。踊躍歓喜し、一心に合掌して仏に白しき。「世尊よ、我は深法を愛し、深法を渇仰す。常に如来の般涅槃に入り、正法を聞かずんば、五濁の衆生の中に在りて愚かにして知る所無く、善悪を識らず、善不善に於いて熟するか熟せざるかを覚了すること能わず、迷い惑いて輪転し、生死の苦趣に陥らんことを恐る」と。
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