仏道を学ぶ者の中で、五戒を厳格に遵守し、毫も犯さず満点を得られる者はどれほどいるでしょうか。五戒に多少の欠けがあっても八十分を得られる者はどれくらいいるでしょうか。五戒の大部分を守り六十分を得られる者はどれほどいるでしょうか。おそらく極めて少ないでしょう。不妄語戒については、守り通せる者はほとんどおらず、あるいは一人もいないと推察されます。ゆえに人間は完全に誠実ではなく、完全に信頼できる存在ではありません。
全ての人が完全に不殺生を実践しているでしょうか。盗戒、すなわち与えられざるものを取る行為について、他人の同意なく物を取れば即ち盗みとなります。自己の所有に属さぬものを心中で自己のものと認識するのも盗みです。人に関しても、配偶者でない者に邪念を抱くことも盗みに含まれます。心が正常でなく、意図が真実で善ならざるものは全て邪に属します。他人の同意を得ずに飲食する行為も全て盗みとなります。多くの人は自らの欲望に従い、顧みることなく振る舞います。手段を用いて他人に強制的に同意させた場合、口では同意しても心中で同意しないならば、依然として盗みに該当します。盗みには名声を騙し取る行為、地位や権勢を詐取する行為も含まれます。
人は常に縁に攀じることを好み、利己的で縁に随順せず、心を守らず、厚情に欠け、貪欲に求め続ける結果、戒を犯し、心が散乱して禅定を得られません。さらに五戒を受けることすら望まず、守る意志もない者で、深い禅定や智慧を求めようとする者がどれほどいるでしょうか。それは不可能であり、ましてや悟りの証得を妄想するのは更に不可能なことです。
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