一切の物質的な色法は、識心が観察するか否かにかかわらず、その状態は同一であり、識心が観察する時は一つの状態で、識心が観察しない時は別の状態となるものではありません。識心による観察がなければ、誰が色法の状態を知り得ましょうか。推測するしかなく、推測によって得られた法は信頼できず、真実とは認められません。故に、すべての科学が科学的であるとは限らないのです。
例えば、張三の容貌は、他人の識心が観察するか否かにかかわらず、概ね大きな差異は生じません。自宅の家屋は、自身が在宅するか否か、観察するか否かにかかわらず、常に同じ様相を保ち、差異や変化を生じることはありません。自らが接触し得る一切の物質的色法も、自らが観察するか否かにかかわらず、その相分はほぼ同様であり、差異や変容を生じることはないのです。
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