鏡に向かった時、鏡の中の影と鏡はどのような関係にあるのでしょうか。鏡の中の像と鏡の外の相はどのような関係にあるのでしょうか。鏡に映る影とは、眼識によって認識される容貌であり、耳識によって聞こえる自らの声であり、鼻識によって嗅ぎ分ける自らの香りであり、舌識によって味わう口腔内の味塵であり、身識によって感じる体内の触塵であり、意識によって了別される五受陰であります。第七識の主体性を含め、第七識の一切の造作もこれに含まれます。第六識が観察し得る五識の認識作用、第七識の認識作用、そして意識自体の認識作用、さらに意識が観察する五受陰と六塵境、これら全てが影であります。影は鏡によって生じ現れ出たものであり、鏡が伝達する影像です。鏡そのものは真実として永遠に存在し滅びることはありませんが、影は生滅を繰り返し、存在している時も真実の有ではなく空なる幻化です。像と相は一一に対応する関係にあり、相似して似通い、像は相によって変化し、相より生じ、相に依って存在します。二者は一でも異でもなく、相を離れて像は存在し得ません。
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